しがない女子の隠れサブカルな日々

日々思った事やあった出来事を淡々と綴ってます。

私が歌い手厨だった頃の話

こんにちは。

いきなりですが、私には人生最大の黒歴史があります。そう、歌い手厨時代です。

 

黒歴史とは

主に漫画やアニメに属する分野などを中心に、「無かったことにしたい事、またはされている事」などの意味で黒歴史という言葉が使われている。具体的には現在は他人に触れられたくない、あるいは自分でも恥ずかしく思う自分の過去などである。(Wikipediaより引用)

 

今ではバンドの世界に身を沈め、廃れたにわかサブカル生活を送っている私ですが、このように、できれば忘れてしまいたい、思い出したくもない過去がありました。もしリアルの人間に知られることがあるならば泡を吹いて死にます。

 

そして今日は、そんな歌い手厨時代を身バレしていないのをいいことに赤裸々に語っていきたいと思います。今でも歌い手厨はネット社会でも虐げられ、なぜあんなインターネットカラオケマンごときに騙され夢中になるのか不思議に思っている人が多いと思いますので、これを読んで「このように哀れな女子中高生は洗脳されていくのか…」と思っていただければ幸いです。

 

 

きっかけはツイッターでした。リア充自慢や不平不満、中流モデルのステマやオタクの叫びなど、日々様々な日常が溢れているいわば無法地帯。そんな中で私はなぜか一人だけ歌い手をフォローしていました。
ツイッターをしている人ならわかるかもしれませんが、きっかけは忘れたけれどなぜか昔からずっとフォローしている人がいたりすることがあると思います。何か面白いネタツイをしていたのか、始めたばかりの頃にがむしゃらにフォローした中にいたのか、もしくは誤フォローか。今となってはわかりませんが、タイムラインに流れ出る趣味の仲間やバンド公式アカウントの中に、当たり前のように歌い手が紛れ込んでいたのです。名前は出しませんがその人はあまり歌い手らしいツイートをするわけでもなく、内容だけ見ればネタツイッタラーのような存在でした。

 

ある日寝る前、布団の中でツイッターをしていると、いつものようにその人のツイートがタイムラインに流れてきました。

(そういえばこの人って歌い手とかしてるんだっけなぁ…)と思い、なんとなくプロフィール欄からニコニコ動画のURLに飛んでみました。あの時は大して興味があったわけではなく、(しめしめいつもこんな変なツイートばっかりしているんだからどうせ歌声も無理にカラオケでワンオクを歌ってスベる高校生レベルだろう…どうだ一回くらい聞いてやるか…)くらいのものでした。
ニコニコ動画は昔に登録したことがあったため、メールアドレスとパスワードをなんとか思い出してログイン。最新作が結構伸びているようなので、マイリスト(この頃の私はマイリスト機能もよくわかっていない)の一番上に出て来たものをクリックしました。そして全く知らんボカロ曲のイントロを聞きながらジト目で右から流れてくるコメントを眺めていました。
そしてその歌い手が歌い始めた瞬間、私は呆然と固まりました。

 

何がここまで私の胸を動かしたのか。それは俗に言う「ギャップ萌え」でした。今思えばそこまで彼は歌がうまい訳でもなく、「男にしては歌うまいね」程度のものでした。しかし、期待を大いに裏切る正統派な曲。くだらないネタツイートばかりしている男とは思えない透き通った歌声。次々流れてくる賞賛のコメント。そう、私は既にその男の戦略にはまっていたのです。

 

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その曲を聞き終わった瞬間、私は言葉に表せないほどの高揚感に満たされました。感動により早まった自分の鼓動を聞きながら、深夜にも関わらず無我夢中で彼の曲を聞き漁りました。時にはコラボ曲を見つけ、他の歌い手の存在も知っていきました。この時既に私は、もう戻れないところまで来てしまっていたのです。

 

次の日も、私はその歌い手で頭がいっぱいでした。朝起きてすぐに彼のツイッターをチェックすると、なんとその日の夜に他の歌い手とコラボでニコニコ生放送をするといった告知がされていました。(なんてベストタイミングなんだ…!彼の声が生で聞ける…!あんな素晴らしい歌声と変なツイートを併せ持つ彼は、一体どんな性格でどんな話し声なんだろう…!)さまざまな興味が沸き、夜まで待ちきれませんでした。
そして始まった生放送。(やっぱり歌い手は顔出しとかはしないのか…っていうかすげえ!当たり前だけどみんな同じ時間帯にリアルタイムでコメントしていて仲間感がすごい!しかも運が良ければコメントが読み上げられたりするのか…!)今まで関わってこなかった歌い手の世界に私は夢中になりました。実際は遠い存在だけど、ジャニーズや俳優とは違って浮世離れしすぎていない"近い距離感"にのめり込みました。彼と一緒に生放送をしていた2人の歌い手に始まり、私はどんどん他の歌い手にもハマっていきました。

 

とは言ってもその頃私は中3で、受験まっただ中。目立つ存在ではなくても一応勉強は真面目にやっていたクチで、さすがに東大を目指すレベルとまではいかなくてもそれなりの進学校を目指していました。しかし私は歌い手という新しく見つけたばかりの趣味から抜け出せるわけもなく、歌い手と受験の2つを中心とした生活が始まりました。他の歌い手にも手を出した私は、毎日のように行われるニコニコ生放送を聞きながら受験勉強に励みました。塾が終わるとすぐにイヤホンをさして放送開始の通知が来ている生放送を聞き、ツイッターも数時間ごとにチェックしました。

 

そんな生活が続き半年くらいが経った頃。受験も無事終えた私のTHE・歌い手応援LIFEに転機がやってきました。

なんと、幼稚園からの親友が歌い手にハマったのです。彼女は私の親友と言いつつも中学ではヤンキーの部類で、スカートをパンツが見えそうなまでに折り、カラコンをつけた中学生ギャル達とつるんでいました。音楽もオタクっぽいところはまるでなく、邦ロックの傍らワンダイレクションやシェールロイドを心酔するなど雑食ではあるものの歌い手とはほど遠い存在でした。もちろん立派な歌い手厨となった私でも周りにそのことは隠しており、歌い手を勧めるなんてことは全くもってありませんでした。

ひょんなこと(長くなるので割愛します)から二人とも歌い手にハマっているということがわかり、今まで一人部屋でコソコソと楽しむだけだった趣味を親友と分かち合う楽しさを見つけてしまったのです。
そして私は親友とともに新しい境地へと踏み出してしまいました。そう、歌い手のライブに…。

 

毎日歌ってみたのランキングをチェックしながら血眼で生放送にコメントを書き込む日々を送っていても、一緒に行く友達を見つけられなかった私はライブには行った事がありませんでした。毎月のように行われるライブのレポを必死でエゴサ(これはジャニオタやバンドオタにも共通することだと思います)しつつも、私はどうせライブに行く事はなのだろう…とどこかで諦めている部分がありました。歌い手の皆の顔は相変わらずわからないままで、たまに歌い手がツイッターにあげた後ろ姿の写真や手の写真を見てはエサをもらった腐女子のように喜んでいました。

 

しかし、身近に同志を見つけた今、歌い手厨に怖いものなどありませんでした。
ついに私たちはちょうど夏休みに行われる歌い手のライブに行こうということになりました。親には「まだあまり有名になっていないバンドのライブに…あ、うん。お母さんに言ってもどうせわからないよ…」などといらん嘘をつき、たくさんの歌い手が出るライブへと向かいました。現地へ付くとさっそく駅には歌い手のリストバンドや缶バッジをつけた集団がちらほら見え、自分の推している歌い手の色に合わせたファッションをしている女の子もいました。目当てのグッズを手に入れるために無駄に早く並び、意気揚々とライブに挑みました。
そして私は、今まで感じた事のない程の満足感を感じました。今までバンドのライブには何度も行った事がありましたが、所詮YouTubeWOWOW、CSのライブ特集などで画面越しに見た事があるものだというのが事実。しかし、歌い手のライブは初めての事ばかりで、最初の曲で大勢が出て来たときは(どの人がどの人だろう…!てか結構イケメンじゃん…!)と涙が出そうなほど感動したものでした。歌い手フィルターにかかっていた私は、そこらへんよくいる髪型で顔を誤摩化した大学生みたいな奴でさえ皆キラキラ輝いて見えました。

 

そしてそれから私は親友と歌い手のライブに通う日々が始まりました。考えてみれば絶対にいらないキーホルダーや缶バッジも買い集め、夏休みや年末は毎週のように通いました。「今月は◯回も会えた…」などとライブに行っただけで"会った"気になる脳みそお花畑のJKに成り下がり、辛いブラックバイトも歌い手の事を考えれば頑張れました。たまに出るアルバムもアニメイトで予約をして、リリイベ(アニメイトTSUTAYAタワレコなどでやるインストアライブみたいなもの。CDの予約をしないといけないものが多い)なども行ける範囲ですべて行きました。10秒くらいだけできる握手では瞳孔開きっぱなしで、iPhoneにサインなどもしてもらいました。(高校の友人にはインディーズのバンドの人などと言って誤摩化しました。)CDやDVDに書いてもらったサインはコレクション化し、ライブを通じて友人もできました。
(余談ですが、親友の高校の先輩が当時とある歌い手の情報を書き込みすぎて掲示板で叩かれまくりだった歌い手の元カノだったというちょっとした事件なども起こりました。)

 

と、このように話しだしたらキリがないのですが、とにかく持っている金はほぼすべて歌い手に落としました。周りが見えなくなっていたというよりかは、「まあ好きな事に使っているんだしいいか」と納得してやっていました。後悔はしていません。たぶん。

とにかくあの頃の私は今すべてをかけて没頭している歌い手という趣味が永遠に続くと信じて疑いませんでした。 しかし、盛者必衰とでも言いましょうか。盛り上がっていたものもいつかは勢いが衰えていく。そのように世界は成り立っているのです。

何が言いたいかというと、初めて歌い手の歌を聞いたあの日からずっと続いていた歌い手ライフがどんどんと静まっていきました。きっかけはありません。ただ、いつもは必ず聞いていたニコニコ生放送も聞く頻度が徐々に減って行き、いつの日かツイッターも見なくなりました。親友もちょうど同じくらいのタイミングで飽きていきました。静かにその勢いは衰え、約2年間にわたる歌い手厨の時代に幕を閉めました。

 

ちなみに数多くのライブで手に入れたグッズはメルカリで売りました。カラオケのキャンペーンなどで手に入れた非売品の缶バッジが2000円で売れたときは何とも言えない気持ちになったものです。とは言いつつも、当時一番好きだった歌い手のグッズはなんだか売れずにベッドの下の奥底にしまってある箱の中に入っています。元カノに未練タラタラの男かよ。

 

このように長々と書いてきましたが、ここまで読んでくださった方がいたら嬉しいです。最初の方は黒歴史と散々disっていましたが、たまにあの頃を思い出して無駄にセンチメンタルになることがあったりなかったりします。お金の事も考えずに好きなものに友達とのめり込んだ日々。今はニコ動社会から足を洗い大人しくライブキッズをしていますが、たまにiPodで当時たくさん聞いていた曲を再生してみては、懐かしい思い出を思い出してなんだかやりきれない気持ちになります。

 

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もし現に歌い手にハマっている人がいたらことによってはブチ切れ案件かもしれませんが、たぶん数ヶ月後または数年後には同じ気持ちになっている事でしょう。怒らないでください。

 

というわけで歌い手にハマった女子はこんな気持ちですよ、という記事でした。全く役に立たない知識だとは思いますが、こういう女子もいるんだなあ…と理解してあげてください。

では。